Dye D?

インタビューズ
2012年05年23日回答


『安田君が作った「Dye D?」という曲についてどう思われますか。』


好きです。
というのは、Dye D?はとても「今の安田らしい曲」だと思うから。

安田が関ジャニ∞の作詞・作曲を手掛けるのはEightopop!!!!!!!以外では初めてです。
それが特典などではなく、Disc1の中に入る。
だから、と言っていいのかわかりません。
安田は「関ジャニ∞」のために曲を作ってきました。
その仕事を、私はとても「職人的」だと思っています。


まずはコンセプト。
本人は、「今まで関ジャニ∞にはない曲をつくりたかった」「新しい関ジャニ∞の見せ方を考えた」と言っています。
安田の想いや思想を表現するものではなく、また安田が関ジャニ∞に歌ってほしい曲、というものでもない。
安田個人の意志は二の次の(むしろ、それこそが安田のやりたい事で、エイトにやってほしい事という見方もありますが)「これまでにはなかった関ジャニ∞を魅せる」がDye D?のテーマでした。
他のアーティストに提供して頂いた曲がそれぞれどこかの部分で関ジャニ∞に寄せているのに対して、関ジャニ∞のメンバーである安田が作った曲が一番「関ジャニ∞らしさ」を手放しているのは面白いです。
それは安田の関ジャニ∞への自信と信頼がなせる技だと思います。

「Dye D?」は、まさに内側の人間だからこそ、という要素がたくさん詰まっている曲です。
もともとコンサートを前提に考えられた曲だと思いますが(多分本人もそう言っていたと思いますが)、
イントロや間奏の長さ、曲調など、コンサートを具体的に想像・想定しなければならないこのような曲をつくれるのは、あの時点では安田だけです。
そして、安田はそういう意味で「自分にしか作れないものをつくる」事を目指したのではないでしょうか。
自分(「安田」というより、関ジャニ∞の「メンバー」の一人である自分)だからこそ、わかる事、出来る事、そしてGOが出る事をやろう、と。
アーティストの力を発揮したいというよりは、自分の力をどう関ジャニ∞に活かせるか、という方に近い意識だった気がします。


私が一番おもしろいな、と思ったのはその歌割です。
関ジャニ∞のためにつくった」はずだけど、だからこそ、歌割だけは「歌のために」組まています。
この曲を魅力的にする事と、個人の魅力や個性を引き出す事は同義だと思います。
と言いつつ、ここはとても堅実に計算をした場所なはずです。
通信でもそんな風に言っていたけれど、聴いていてもそれがすごくわかる。
安田はヨコヒナは関ジャニ∞の武器だと思っています。
そして、マル・大倉の安定感をすごく評価している。
それぞれの「仕事」を安田なりにきちんと担わせている、どの場所も安田にとって「その人にしか出来ない」必然性のある歌割だと感じます。
個人的には、錦戸をわかりやすく使っちゃう辺りはヤンマー的にも、安田のエイト観的にもすっごい萌える部分です。

また、安田の「渋谷すばるの使い方」はとても興味深かいです。
抽象的な言い方かもしれませんが、安田はすばちゃんに「点をとってほしい」訳じゃないんだな、と思いました。
関ジャニ∞の中で、「歌」において、安田にとってはすばちゃんはエースや点取り屋ではなく、キャプテンやリーダー。
チームの真ん中にいて、ゲームをコントロールする人、流れを掴む人。
その、色を決める人。と受け止めているんじゃないか、と。
だから、月刊ソングスのインタビューですばちゃんが
「ヤスの頭の中のイメージやろうけど、曲を聴いたり、歌割りを見た時にヤスの考えてることは何となくわかったのでなるほどなって思いました」
と言っていたのを見て、こんなに嬉しくて頼もしい事はない!と思いました。
安田が何を思い、すばちゃんが何を感じたか具体的に知る術はありませんが、二人になにか共通認識が生まれていたならその勝負は負けるはずがありません。

ちなみに歌割において、安田は自分のパートは「消去法でバランスを見て入れた」と言っています。
これは謙虚さと同時に、自分の器用さへの自信が見える所じゃないでしょうか。
とは言え、歌割はもちろん、この「Dye D?」という曲全部対を通して見ても、私はそこに安田の「我」を見つける事が出来ません。
自分が目立ちたいという我もなければ、先に言った通り、安田そのものの我もない。
歌詞が英語であること、その歌詞の内容、曲調など、こんなに独特な曲なのに、その意図の全ては関ジャニ∞に着地しています。
少なくとも私は、この曲に「安田の中にあるものを吐きだした曲だ」という言い方はしたいと思いません。


担当の欲目で言えば「これまでになかった関ジャニ∞の魅せ方とその表現」という目的は十分達成していると思います。
それを可能にしちゃう、安田は天才です。
ただ、私はこの評価を、発想力や創造性や独特性の部分じゃなくて、その「緻密さ」にあてたいですが。

この曲は、これでいいのだと思います。
だってこれは「関ジャニ∞」の歌だから。
だから、私はこの曲が好きです。

と、こんな穿った言い方をするのは、私はもっと安田の「我」を見たいし聴きたいからです。
「職人的」という表現が合っているかはわかりませんが、最近特に「〜のため」「誰が歌うのか」「その目的は」という、何かしらの前提ありきで生まれる作品が多いように感じます。
そこにある「意」を最大に活かす、そんな作品がつくれる事はとんでもない力です。
彼はプロフェッショナルです。
だけど、私はもっとアーティスティックな彼がみたい。
安田はもっとめちゃくちゃ出来るだろう!と思っています。
乱暴な言い方をすればもっともっと無責任でわがままな曲を作ってほしい。
何が安田らしさなのか、なんて事は言えませんが、安田はもっと自惚れて、自分を大事にしていいと思います。
いつか、そんな安田を見たい。聴きたいです。




おっと。

随分長くなってしまいました。
ご質問は「安田君が作った「Dye D?」という曲についてどう思われますか。」でしたね。

率直に言えば「勝ち勝負してんじゃねー、ばかー」と思ってます^^
好きですよ、単純に。